歯を抜かないといけなくなる原因トップ3は、むし歯、歯周病、歯の破折です。
また年代としては40代から徐々に増えていきます。
むし歯による抜歯は、フッ素や清掃習慣の改善により減少していますが、歯周病の罹患率は30代以上で80%以上になり、歯の喪失原因第一位になっていきます。
そこで近年トピックスになっている歯周病、歯槽膿漏について松山市の歯医者目線でまとめていきます。
テレビCMなのでは「歯槽膿漏」と言われていて一般的ですが、正式名称は「歯周病」といいます。
以下歯周病についてまとめていきます。
- こんな症状はありませんか?
- 歯周病はどんな病気でしょうか?
- 歯周病の原因
- 歯周病の治療
こんな症状はありませんか?
・朝起きたとき、口の中がネバネバする。
・ ブラッシング時に出血する。
・口臭が気になる。
・歯肉がむずがゆい、痛い。
・歯肉が赤く腫れている。(健康的な歯肉はピンク色で引き締まっている)
・ かたい物が噛みにくい。
・ 歯が長くなったような気がする。
・ 前歯が出っ歯になったり、歯と歯の間に隙間がでてきた。食物が挟まる。
※上記の項目3つあてはまる
油断は禁物です。ご自分および歯医者さんで予防するように努めましょう。
※上記の項目6つあてはまる
歯周病が進行している可能性があります。
※上記の項目全てあてはまる
歯周病の症状がかなり進んでいます。
臨床歯周病学会より引用しています。
http://www.jacp.net/
歯周病ってどんな病気でしょうか?
図のように歯は歯茎の下および歯茎の下の骨に支えられて、口の中にあります。
歯周病とはその歯を支える歯茎および支える骨に症状が起きる病気です。
最初は一時的に歯茎が腫れたりしますが、大部分はほとんど自覚症状がなく進んでいきます。
糖尿病などの生活習慣病と似ていて、すこしずつ進行するため、自覚症状が出たときにはかなり状態が進行していることが多いです。
上記のような症状が年単位で進んでいき、歯を支える骨が少しずつ溶けていき、歯がグラグラと揺れ始め、最終的には抜けてしまうというような病気です。
歯周病の原因
歯周病の原因は、歯の根元および歯茎の中で増殖した、ばい菌です。
食事のあと歯磨きをしないとベタベタしてくると思います。
これは食べ残りが溶けたものではなく、70%は、ばい菌の塊です。
お口の中にはおよそ300~500種類の細菌が住んでいます。
これらは普段あまり悪いことをしませんが、ブラッシングが充分でなかったり、砂糖を過剰に摂取すると細菌がネバネバした物質を作り出し、歯の表面にくっつきます。
粘着性のこの物質はうがいをした程度では落ちません。
この粘着性の物質1㎎の中には10億個の細菌が住みついていると言われ、むし歯や歯周病をひき起こします。
その中でも歯周病をひき起こすばい菌が特異的に存在していることが解明されています。
ばい菌やその毒素によって歯ぐきに炎症が起き、その結果として出血、膿、腫れなど出るようになります。
ばい菌は口の中で環境が整うと増殖して巣を作っていき、歯茎や骨と陣地の取り合いをしてきます。ばい菌が優勢な時は陣地を広げていき歯を支えている骨が減っていってしまいます。
しかもばい菌に有利なルールでとられた陣地はほとんど回復することがないので、徐々に進行していくことになります。
大きく陣地をとられているときは腫れたり痛みがでたりします。
専門的にはこのばい菌の巣をプラークや歯垢、細菌バイオフィルムと呼びます。
最近は、細菌バイオフィルムと呼ばれることが多いです。
そのため以下では細菌バイオフィルムと呼んでいきます。
細菌バイオフィルムが自身の陣地を拡大していくことを細菌バイオフィルムの感染といいます。
つまり歯周病とは最近バイオフィルムの感染症ということになります。
細菌バイオフィルムの感染が拡大していった結果、歯を支える骨が解けていく病気を歯槽膿漏、専門的には歯周病と呼びます。
歯周病の治療
当院では歯周病学会が出しているガイドラインに沿って治療を進めていきます。
http://www.perio.jp/publication/upload_file/guideline_perio_plan2015.pdf
歯周病は感染症です。
感染症の場合、一般的には抗生物質による治療が第一選択となりますが、抗生物質を用いても、バイオフィルム内には薬が浸透しずらいため、単独の細菌に用いるよりも、100~500倍高い濃度を必要とします。
これでは体のほうに強い副作用が出てしまいます。
どのような薬やうがい薬であれ、急性症状で歯ぐきに細菌が入り込んできた場合には一時的に有効ですが、歯周病の原因を取り除く治療には至りません。
そこで直接細菌バイオフィルムを除去していく必要があります。
一番大切なことは、患者さん自身がしっかり効率的にブラッシングを行えるようにすることです。
歯と歯茎の境目についた汚れをしっかりと落とせるようにしていきます。
その後、歯石とりに入っていきます。
歯石は歯に付いた石のようなもので、これは唾液や血液のカルシウムが沈着した物です。
以前はこの歯石が歯周病の直接の原因と言われていましたが、現在は否定されています。
ただ歯石の表面は穴が多くザラザラしていて歯周病菌が増殖しやすいため、細菌バイオフィルムをきれいにするためには、歯石をきれいにとっていく必要があります。
歯石をとることが歯周病治療ではなく細菌バイオフィルムをきれいにすることが大切なので、ブラッシングの重要性は理解できたでしょうか?
まず、歯周病の原因は細菌バイオフィルムですから、それをためない、増やさないことが基本です。そのためには・・・
①正しい歯ブラシの方法で毎日実行することです。歯の表面を歯垢のない清潔な状態にしておく事が何より大切なことです。
②歯肉の中まで入っている歯石を取り除き、さらに根の表面を滑らかにして炎症を引き起こす細菌を徹底的に除去することです。
③傷んだ歯肉、骨を治療して健康に近い歯肉にすることです。
④健康の保持のため歯科衛生士による専門的なクリーニングなどのメインテナンスを定期的に受けることです。
次のことも歯周病を進行させる因子となります。
・歯ぎしり
・くいしばり
・かみしめ不適合な冠や義歯
・不規則な食習慣喫煙ストレス
・全身疾患(糖尿病、骨粗鬆症、ホルモン異常)
・薬の長期服用
今回は歯周病についての基礎知識をまとめました。
次回は実際の治療を説明していきます。こちらから
松山市の歯医者 あいはら歯科クリニック 院長 相原大樹でした。
https://www.aihara-dental-clinic.com
インターネット仮予約
790-0952 愛媛県松山市朝生田町4-4-32 第一教習所ビル1F D号室
Tel:089-910-0727