前回のブログで歯周病とはどんな病気かを説明しましたので実際の治療を説明していきます。
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前回の復習になりますが歯周病は感染症ですので感染源をしっかりと取り除く必要があります。
診断、治療の進め方に関しては歯周病学会からガイドラインが出ていますので当院ではそれを参考に進めています。
http://www.perio.jp/publication/upload_file/guideline_perio_plan2015.pdf
具体的には以下のようになりますので、分かりやすいように解説していきます。
- 歯周検査(現状の把握)
- ブラッシング練習、噛み合わせの調整、汚れがとどまりやすい被せものなどの除去、形態修正、歯茎の上の歯石とりなど
- 歯周検査(改善の確認)
- 歯茎の下の歯石とり(SRP)
- 歯周検査(改善の確認)
- 歯周外科(形態の修正、とりきれない歯石の除去)
- 歯周検査(改善の確認)
- 被せものの治療
- メインテナンス
となりますので解説を行っていきます。
歯周検査(現状の把握)
まずは現状を把握して診断し、治療計画を立てていきます。
視診、触診による口腔内診査、口腔内写真、レントゲン検査、歯周病検査などを行います。
視診とは目で見て細菌バイオフィルムの付き具合、進行度、磨き残しを助長する原因を探っていきます。
レントゲンで歯を支えている骨の状態や進行度、磨き残しを助長する原因を探っていきます。
写真は5~9枚撮影します。噛み合わせや磨き残しの状態を把握します。
歯周病検査とはプローブという器具を使い、歯と歯茎の境の深さ、歯周ポケットの深さと出血部位、磨き残しの部位を把握していきます。
歯周ポケットの深さと出血部位により歯周病の進行度を把握していきます。
~3㎜ 正常
4~6㎜ 軽度~中等度の歯周炎
6㎜~ 中等度~重度の歯周炎
出血の有無
歯茎からの出血部位を確認していきます。
出血部位は、歯茎で今、炎症が起きていますというサインになります。
出血が続く場合は半年ほどで歯周ポケットが深くなることが多いという報告がありますのでまずは歯茎からの出血がない状態を目指します。
*歯科用のレントゲンの安全性と費用に関して
まず最初に知って頂きたいのは放射線の量を表す単位についてです。 放射線の量にはミリシーベルト(mSv)と云う単位を用います。
宇宙から降り注ぐ宇宙線や地中から放射される放射線などをあわせた自然放射による被曝は、 世界平均1人当たり11年間で2.4mSvになります。日常生活でもわずかですが被曝していることになります。
例えば、飛行機に乗って東京・ニューヨーク間を往復するだけでも宇宙線を浴び、およそ0.2mSvの被曝をしてしまいます。
科での小さいデンタルレントゲンで1枚0.01mSv。
口腔全体が写るパノラマレントゲンで1枚0.02mSv。
当院のように撮影時鉛の入った防護エプロンを着用すると被曝線量は10分の1以下となり、問題は限りなくゼロとなりますので、診断や状態の把握のために必要であると考えられる場合は、治療を行うメリットのほうが被ばくのリスクより優先できるので撮影を行います。
小さなレントゲンで10枚撮影るるときは3割負担の方で1500円程度、口全体が写るレントゲンで1200円程度となります。
ブラッシング練習、噛み合わせの調整、汚れがとどまりやすい被せものなどの除去、形態修正、歯茎の上の歯石とりなど
歯周病の原因は細菌バイオフィルムです。
まずは原因となる汚れを落とせるようブラッシングの確認を行います。
被せものや詰め物が入っていてどうしても汚れが取り切れず、歯周病を悪化する原因となるようなものは携帯修正や外す相談をします。
また揺れがある歯はチェックを行い、噛み合わせの調整が必要な場合は調整を行います。
大根を抜くときには揺らしながら抜くと思いますが、歯も同じで、弱った歯に揺らす力がかかり続けると最終的には抜けてしまうため調整が必要な場合は噛み合わせの調整を行います。
それでも揺れが止まらない場合は歯周治療が終わるまでは固定を行い、治療後に隣の歯とつなげる相談を行っていきます。
ブラッシングが落ち着いてくると歯茎の上の歯石取りに入ります。
これをスケーリング、SCといいます。
以前はこの歯石が歯周病の直接の原因と言われていましたが、現在は否定されています。
ただ歯石の表面は穴が多くザラザラしていて歯周病菌が増殖しやすいため、細菌バイオフィルムをきれいにするためには、歯石をきれいにとっていく必要があります。
歯石をとることが歯周病治療ではなく細菌バイオフィルムをきれいにすることが歯周病治療の肝となります。そのため、ブラッシングが非常に大切になります。
歯周検査(改善の確認)
歯茎の検査を行い、改善があれば定期健診に移行し、改善がない場合は歯茎の下の歯石取りを行うかの相談します。
歯茎の下の歯石とり(SRP)
歯茎の上の歯石取りを行っても病状の改善がなければ歯茎の下の歯石取り、スケーリング・ルートプレーにング、SRPに入っていきます。
歯茎の下というと痛いような感じがありますが、痛みがある場合はしっかりと麻酔を行うので、強い痛みが出ることはほとんどありません。
治療後に一時的にシミるような感じがでることがありますが、徐々に落ち着いてきます。
回数は6回に分けることが多いです。
⑤ 歯周検査(改善の確認)
歯茎の検査を行い、改善があれば定期健診に移行し、改善がない場合は歯茎の下の歯石取りをもう一度行うか、歯周外科を行うかを相談します。
歯周外科(形態の修正、とり切れない歯石の除去)
歯周外科を希望された場合は適応を見定めて、外科を行っていきます。
適応は色々とありますが、簡単にまとめると治療を行うことによって改善が見込める場合に行っていきます。
外科を行ったことにより、抜歯しないといけなくなるような状態では適応になりません。
手術の種類としては、大きく分けると「切除療法」と「再生療法」に分かれます。
切除療法とは、悪くなっている部分を切除する治療になります。歯茎が下がるというデメリットがありますが、悪い部分を残さないので適応を守れば予後はいいです。
再生療法とは、再生材料を用いることにより失ってしまった骨や歯茎を再生していく治療になります。適応症の評価をしっかりと行う必要があります。
2016年より「リグロス」という材料が保険適応となっています。
適応症や術式に関しては歯周検査後にしっかりとご説明させていただきます。
歯周検査(改善の確認)
歯茎の検査を行い、改善があれば定期健診に移行します。
被せものの治療
被せものや、義歯、インプラント治療を行います。
治療後も揺れがおさまらない場合は隣の歯とつないでいく相談を行います。
弱っている歯を長持ちさせるためには必要に応じてつなぐ治療を行いますが、相談のうえ決めていきます。
メインテナンス
歯周治療が終わると、定期健診に移行します。
ハブラシだけではとり切れない汚れがだんだんと溜まってきてきて再び悪化しないよう、定期健診を行います。
現実的には歯周ポケットがすべて3㎜以下になることは少ないため、4㎜以上のリスクが高い部位は定期的にサポーティブペリオドンタルセラピー、SPTにより歯周病の悪化や、腫れたり痛んだりを防いでいきます。
以上歯周病治療に関してまとめてみました。もっと詳しく知りたかったり、治療のご希望がある場合はご連絡ください。
松山市の歯医者 あいはら歯科クリニック 院長 相原大樹でした。
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