歯医者といえば「キーン」というあの音、みなさん嫌ですよね?
口の中は直接見えないうえに、なかなか自分が何をされているのかがわからない場合は怖いし、通院するのが嫌になるのではないでしょうか?
通院をやめてしまったら、痛くなって歯を抜くこととなってしまし余計に通院回数が増えてしまった経験はありませんか?
今回は、歯医者に通院する頻度が高い虫歯治療についてお話しします。
自分が今、何をされていて治療の必要性がしっかり分かれば、通院のモチベーションにもなると思います。
また「虫歯と言われたのに放っておいたら治った。」というのを聞きますがこれは虫歯の乳歯が抜けてしまったり、まだ削る必要がなかったり経過をみている虫歯のことであったり、隠れ虫歯の症状が出ていないだけだったりします。
基本的に虫歯が自然と治ることはありません。
さらに虫歯が進行していますと削る量も増えますし、期間、費用もかかりますので、歯科医院での相談、治療をお勧めします。

  • 歯を削らない
  • 歯の構造
  • 虫歯治療のガイドライン
歯を削らない

歯を削らない

「なるべく削らない」「MI(ミニマルインターベンション、最小限の侵襲)」という言葉をよく耳にします。
治療が必要な虫歯も削らならないほうがよいという風にもきこえます。
しかし言葉の真の意味は歯を少しでも長く持たせるために治療、経過観察をするという意味です。

歯科会でも技術や材料の進歩は日進月歩で治療の方法もかなり変わってきています。
昔なら大きく削って被せないといけなかったものが、詰めるだけで治せるむし歯の適応が広がっています。歯髄(神経)に関しての考え方もトラブルが出そうなので歯髄(神経)をとるという考え方から、なるべく歯髄(神経)を温存し、トラブルが出て初めて歯髄(神経)をとるという考え方に変わってきています。

歯の構造

歯は表面からエナメル質、象牙質、歯髄(神経)という3層構造になっています。
内側に行くほど大切なものが入っているのは、卵を思い浮かべていただくと分かりやすいかとも思います。
虫歯に対してもエナメル質が一番強いため、エナメル質はなるべく削らないほうがよいということになります。

発生学という分野では象牙質と歯髄(神経)は同じものから分化するため象牙質歯髄複合体という考え方のもと分類することもありますが、臨床で治療を受ける場合は、3つに分けて考えるほうが分かりやすいです。
エナメル質、象牙質、神経を分けて分類していくと、

虫歯がエナメル質表面のもの…C0
   エナメル質内のもの…C1
   象牙質まで達しているもの…C2
   歯髄(神経)まで達しているもの…C3
残念ながら抜歯をしないといけないもの…C4
という風になります。

C1~C4

それぞれに治療法が枝分かれしていくためしっかりと診断することがなるべく歯を削らなくてよいことにつながっていきます。
枝分かれしてしまった末端では修正が利かなくなるため、的確な診査、診断というのが非常に大切になっていきます。

虫歯治療のガイドライン

では実際にどういう検査を行い、診断をつけ、どのような治療法があるのかというのを説明していきます。
日本歯科保存学科という虫歯治療、歯をなるべく残していきましょうという権威ある学会がありますが、そこが「こういう診断をし、治療を行うと歯が一番長持ちするでしょう」という意見をまとめたガイドラインというものがあります。
それぞれの場合によって、患者さんの希望によってその通りにならないこともありますが、基本的にはガイドラインを参考に診断し、治療を進めていきます。
興味がある方はインターネット上で読めますので、読んでみて専門用語等分からないことを聞いてもらえればお答えします。
リンクを貼っておきます。
http://www.hozon.or.jp/member/publication/guideline/file/guideline_2015.pdf
さすがに専門書を読むのも大変だと思いますので、私が大切と思うものを抜粋しておきます。

診断方法
レントゲンを撮りましょう!
従来は色が黒いとか、目で見た情報を中心に診断していましたが、虫歯がどこまで進行しているかを把握するのは一番レントゲンが有用です。
そこで削ルところに目安をつけることによりなるべく余分なところを削らなくできます。

どの虫歯から削ったほうがよいか?
象牙質に達しているC2から!
様々な文献が参考にされていますが、私が一番参考にしているのが象牙質に虫歯が入ってしまった虫歯は進行するようになるため象牙質に入ってしまったものは早目に治療をした方がよいです。前歯など色が変わって見た目が気になるものも治療の対象となります。

初期虫歯や、根っこが見えてきてしまっている虫歯は?
フッ素を塗りましょう!
これは強く推奨されていますが、歯を強化するため、また再石灰化を促すために定期的にフッ素を塗ることが重要です。もちろんフッ素を塗るだけではなく、リスクが高い部位のハブラシの当て方などを歯科医師、または歯科衛生士と相談していくことが非常に重要です。

虫歯はどこまで削るのか?
ばい菌がいなくなるところまで!
これも以前は色が黒いところは削っていましたが、削るのは硬さを参考するようになりました。ばい菌は目に見えないので、ばい菌が住んでいるところはポリプロピレングリコールという成分を使った、染色液を使い判別することが有効です。
柔らかくなったところをさっと除けて、怪しいところを染色液を使いながら健康なところを削らないように気を付けます。

どういった器具で削るのがよいか?
削れ過ぎる道具は使いすぎない!
う蝕象牙質は、健康なところを削りすぎないため、低速回転の切削器具を使い、さらに仕上げは手で仕上げるのがよいです。
昔、「上手な人は早いが、早い人がうまいわけではない」というのを何かの本で読んだ気がしますが、上手な人は無駄なステップを簡略化しているのでスピーディーですが、丁寧にしないといけないところは時間がかかるためこの言葉はその通りだと思います。

歯髄(神経)に関して
なるべく神経は温存するべき!
痛みがでそうだからという理由では神経はとらずどうにか、神経を残すことに努めます。
神経をとるとその後、構造上、歯は弱ってしまうので歯が割れてしまったり、神経をとったところに再感染が起こってしまう可能性があるのでやはりとらなくてよいものは極力、しないほうがよいです。

歯髄(神経)をとった後は?
被せる治療を行ったほうがよい!
これはガイドライン内に書かれているわけではないですが、歯髄(神経)をとった後は構造上どうしても弱くなってしまうため、歯が割れてしまわないよう、奥歯の場合は噛み合わせの面を覆うようにしておくほうがよいです。根っこが割れてしまうと多くの場合は抜歯となってしまうため一見、歯を削るようですが長い目で見ると、周りの歯を傷つけないので結局は「削る量が少ない治療」となります。
ということでまとめますと

なるべく虫歯の初期は予防に努めること、削る必要のあるものは神経をとらないためにもなるべく早く治療を行うということ、神経をとった歯は割れてしまうと結局隣の歯を削ったりしないといけなくなるためしっかりと被せておくということです。
よろしいでしょうか?

この後に、それぞれC1~C4の虫歯の治療法や抜歯になりそうな歯への取り組みを書いていこうと思っていましたが、前半部が長くなりすぎたので次回書きます。こちらから

松山市の歯医者 あいはら歯科クリニック 院長 相原大樹でした。
https://www.aihara-dental-clinic.com

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