前回のむし歯治療が長くなりすぎたため、2回に分けてお送りするようにしました。
前回、むし歯にはC0~C4までの段階があるということでご説明しました。
今回はそれぞれの治療法について詳しく解説していこうと思います。
前回のブログはこちらから
- 前回の復習
- C0のむし歯
- C1のむし歯
- C2のむし歯
- C3のむし歯
- C4のむし歯
- まとめ
前回の復習
・なるべくむし歯の初期は予防に努めること。
・削る必要のあるものは神経をとらないためにもなるべく早く治療を行うということ
・神経をとった歯は割れてしまうと結局隣の歯を削ったりしないといけなくなるため、奥歯の場合はしっかりと被せておくことです。
それではそれぞれのむし歯の治療法を書いていきます。
C0のむし歯
歯の表層が白くなってしまっている段階です。
この段階では、フッ素をとりこむこと、食生活の改善や歯磨きの精度を上げることによって再石灰化が起こることがある状態です。
見た目がどうしても気になる場合を除いては予防に努めます。歯科医院ではブラッシングの確認、フッ素塗布等を行っていくようになります。
フッ素の効能、使い方に関してはまた後日詳しく書いていくようにします。
C1のむし歯
むし歯の進行がエナメル質内に限った状態です。
奥歯の溝が黒くなっていたりするのがこの状態にあたります。
以前は黒いというだけで削って銀歯にしていましたが、現在ではこの状態でも再石灰化の可能性があるため定期検診で様子をみていくようにします。
C0と同様に見た目が気になる場合は治療の対象となります。穴が開いてしまい、清掃が難しい場合は、噛み合わせを壊さないようにまた、ハブラシが当てやすいように詰める治療を行っていきます。
また食生活に関しても問診を行い、適切な助言をさせてもらいます。
グラフは、砂糖を口に含んだ後の歯のばい菌のpHの変化を表します。エナメル質が解け始める臨界pHは5.5といわれています。
砂糖を口に入れると約20分間は口の中が歯が解ける環境となり、その後1時間かけてもとに戻っていきます。
ダラダラ食べるとお口の中がむし歯になりやすい環境が続くため、時間を決めて食べることが非常に重要になります。
C2のむし歯
むし歯の進行が象牙質に及んだ段階です。
虫歯の進行が象牙質層1/3までは再石灰化の可能性があるとのことですが、象牙質に及んだ虫歯は70%ほどが進行してしまうというデータがあります。
象牙質まで進行してしまった虫歯はレントゲンで確認し治療の対象と考えています。
治療法には主にコンポジットレジン修復とインレー、アンレー修復というものがあります。
コンポジットレジンとは
コンポジットレジンとは樹脂の材料です。
略語ではCRといいます。かっこよく聞こえますがTKG・・・たまごかけご飯となんか似ていますね。
セラミックを砕いたものを接着剤の中に混ぜているものと考えると分かりやすいかと思います。
接着剤は光が当たると固まるように調整されています。
患者さんから紫外線を当てているということを言われることがありますが、紫外線は目に見えないため、青っぽい色をしていますが紫外線ではありません。
体に害があったり日焼けしたりすることはありませんので安心してください。
メリットは白い材料で見た目もほとんど気にならないうえ、歯に処理を行うことで直接、歯とひっつくためむし歯の部分だけを削って詰めることができます。
「なるべく削らない治療」にぴったりの材料です。
なるべく削らない治療がさけばれるようになったのは2002年10月にウィーンで行われたFDI(国際歯科連盟)においてMIという概念が発表されてからです。
MIとはMinimal Interventionの略で、う蝕管理における最小の介入のことです。
さらに簡単に表現すると、MIの基本は「う蝕管理において、できるだけ歯を削らないためには、どのようにしたらよいか」ということです。
その中でも、できるものはなるべくコンポジットレジンで修復しましょうと言われています。
治療のデメリットは強度的には金属にかなわないことと、経年的に色がつくこと、お口の中で直接形を作らないといけないのでものが詰まりやすいなどの対応が難しいです。
費用は1本1200円ほど、期間は1~2回です。
銀歯が取れたということで来院された患者さんです。コンポジットレジン修復の適応と考え修復しました。見た目も自然に仕上がります。
甘いものを食べると痛いということで来院されたお子様です。
目で見たところは問題がなかったのですが、レントゲンを撮ってみると隠れむし歯が発見されました。
通常だと神経をとらないといけないくらいの大きさですが慎重にむし歯をとり、仮埋めで症状が出ないかを確認し、半年待って修復しました。
時間は30分以上かかり子供にとっては拷問のように感じられたと思いますが、なるべく神経をとらないため歯を長く持たせるために治療を行いました。
治療前と後を比べると神経の部分の面積が狭くなっているのがわかると思います。神経は刺激があったりすると「第二象牙質」というものを作り石灰化していきます。なるべく神経をとらなくてよいように治療を行っています。定期健診にて状態を確認していきます。
※患者さんに了承を得て掲載しています。
インレー、アンレー修復
いわゆる銀の詰め物です。
型取りを行って作るため2~3回の治療が必要になります。
コンポジットレジンの適応が増えてきて、だいぶ登場する機会が減ってきています。
ただ、噛み合わせの力が強くかかる部分、歯と歯の間のむし歯に関してはベストな治療法です。
コンポジットレジンで修復して噛み合わせの力に耐えられず、割れてしまったり、擦り減ったりすることが予想される場合は噛み合わせがずれてしまわないようにインレーやアンレーの適応となります。
また、歯と歯の間のむし歯の場合、食べ物が詰まりやすかったり、不潔になりやすい環境の場合があります。
歯科に受診した場合は、その部分のお掃除の確認をしますが、それでも虫歯になってしまう場合は、不潔になりやすい環境を改善する必要があります。
その場合は模型を作ってお口の外で形が作れるインレー、アンレー修復は非常によい治療となります。
費用は2000円ほどです。
また材料の進歩により、金属製のもの以外にも強化プラスチックで作ったり、セラミックで作成した白いものも選べるようになっていますので、治療の際にはしっかり説明を行い、患者さんの希望に添えるようになっています。
C3のむし歯
神経まで達しているむし歯は神経をとる治療になります。
大昔は歯が痛くなると抜かないといけませんでしたが、虫歯で痛くなった歯を残すため、感染を防止するためのしっかりとした治療法です。
神経をとった歯は構造上割れやすくなったり再感染が起こったりするリスクが上がるため、極力神経はとらないほうがいいです。
ただもう感染が起こってしまっている場合は歯を残すためにも丁寧に神経の治療を行ったほうがよいです。
様子を見ることによって状態はどんどん悪くなってしまい抜歯に至ることもあるので早目の治療をおすすめします。
また長い目で見ると奥歯の場合は噛む面を覆う、被せる治療を行っておいたほうが、いいです。
被せていないと歯が割れやすくなるため、歯を抜かなくなってしまったりすると結局、歯を削る量が増えてしまいます。
神経の治療について
C4のむし歯
残念ながら歯を抜かないといけない状態です。
歯を抜くことは、他の歯への影響や、体への影響を考えてやむを得ない場合抜歯となります。
歯を抜いた後は噛み合わせに乱れが出そうになければ経過観察を行いますが、基本的にはブリッジ、部分入れ歯、インプラント等の方法を用いて歯を入れていくようになります。
まとめ
歯をなるべく削らないためには、予防に努めることと、治療の必要のあるむし歯は早めに治療を行うことが必要です。
次回は神経の治療と、C4の歯に対する取り組みを書こうと思います。
松山市の歯医者 あいはら歯科クリニック 院長 相原大樹でした。
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